近所の保護犬 シゲちゃん
夕方近所に伺うと このシゲちゃんのことを書いた
社内報を見せていただきました 娘さんが
思い出として投稿されたのです
26〜7年前の出来事です
天理市で 飼育できなくなった犬を 高齢の方が
引き取ったまま病気でお世話ができず その後放置されました
70~80頭ほどの犬たちを 大和郡山の保健所が
全国に呼びかけ 新しい飼い主を
探しているということで 新聞やTVにも報道されました
近所の動物好きでやさしいNさんは 最後に残った
何頭かの中の それも一度引き取られ 返された
シゲちゃんを 引き取ってこられたのです
シゲちゃんは4〜5日も経たないうちに 散歩に出かけた先で
開いたジャンプ傘に驚き 紐をつけたまま 一目散に走り出し
行方不明になったのです
手分けして探したのですが見つからず
やっぱり居着かなかったのかと
思っていたら 2〜3日後の夜明けに
ひとりで戻ってきて 近所中安堵しました
シゲちゃんという名は保健所でつけられた名で
風貌が長嶋茂雄さんに似ているからとのことで
シゲちゃんが惑わないよう馴染んだ名で
N家でも そう呼ばれました
私はずっと シゲでなく茂ちゃんと思っていました
その後何年か平穏に暮らしていたのですが
ある年の10月初旬に また行方不明になったのです
首輪を 残したまま
N家では ありとあらゆる方法でシゲちゃんの広報をし
ご家族はどこへ出かけるのでも シゲちゃんの大好きな
餌と 首輪を持参され 消息の連絡があれば
すぐに対応されました
側で見ているこちらも 心が痛みますが
奥様の憔悴様は限界を超えていました
暮れに見かねた娘さんから 子犬を
プレゼントされました
開けてお正月 2日か3日の日です
宝山寺へおまいりしようと 車を止め
ケーブルの駅まで歩いていた時です
出会った犬に 思わず「茂ちゃん」と
声をかけました シゲちゃんにそっくりです
随分やつれて ボーッとして自信なさげですが
呼びかけに反応して ゆっくり不思議そうに
振り向きます やっぱりシゲちゃんに違いありません
N家に連絡するとご主人が急いで車で駆けつけて
こられました
「オイ シゲ!!! どこに行っとったんやあ」
元気なくぼーっとしていた シゲちゃんの
心にこの声が届いたのです
急に尻尾が キュ! キュ!と巻き上がり
目がキラリと光りました 感動の再会でした!
シゲちゃんは1週間ほど前から この路地の
おばあちゃんに 餌をもらっていたのです
首輪もなく こんな高齢になって 捨てる人がいるなんて
残酷や〜〜と おっしゃったのですが
どんなに探していたかを お伝えしました
その後シゲちゃんは N家に戻り 新人の
子犬と仲良く幸せに暮らしました
今ではシゲちゃんも 新人の子犬も
天国へ行ってしまいました