講師 阿辻哲次先生のリーフレット
モリサワさんの新社屋は 最新設備でおしゃれ!
講演会場は満員でした
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昨年11月 29年ぶりに改定された「常用漢字表」について
文化審議会 国語分科会委員として この作成に参画された
京都大学大学院 人間・環境学研究科 阿辻哲次教授に
「なぜ今改定が必要だったのか 改定の目的は何だったのか」など
実際に携わられた経験から 分かりやすくお話頂きました
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3年半ほど前 日本タイポグラフィ協会では
阿辻先生に「漢字のしくみとあゆみ」について
講演をお願いしました
文字に携わる 現場の声をと いうことで
「シンニョウ」と「食偏」の統一をお願いしました
常用漢字ではシンニョウは 点ひとつ それ以外は
点ふたつ これでは説明がつかないと
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まず漢字の文化から
文字は何に書くかで文字の形が変わってきました
文字発祥の頃は亀の甲や鹿の頭蓋骨に書かれ
つまり刻まれました そのうち紙や筆が普及すると
草書体や仮名ができます
漢字はその時代を反映しながら古代から
いろいろ変遷を遂げてきました
戦後1946年の当用漢字1850字
1981年の常用漢字1945字
2000年には印刷文字を対象として示された
1022字の上記以外の「表外漢字」が制定
一方 1979年東芝から日本語の電子タイプライターが
630万円で発売されました
つまりワードプロセッサー誕生です
1982年には富士通がマイオアシスを85万円
企業から注文が殺到したそうです
その後1984年にはシャープワープロ「書院」が28万円
つまり電子機器が急速に安く普及しだし 常用漢字に入って
いるかいないか気にせず いろいろな漢字が
使えるようになったのです
実際に書けなくても 携帯やパソコンを打てば文字が
変換され出てきます
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今回一番気になっていたのが
「食編」と「シンニョウ」と「令」
昔から手書きだと シンニョウは点がひとつ
ショクヘンや「令」の止めは「点」でした
書聖 王羲之 欧陽詢 褚遂良の時代もです
メモより
OS=operating system =パソコンや携帯等の機械文字
つまり「迷」は小学校で習う文字で シンニョウは 点がひとつ
「謎」は中学校で習う文字で シンニョウは 点がふたつ
小学校の教科書では手書きに近い「教科書体」ですから
「令」も右下の「﹅」「マ」でOKになります
中学校の教科書は「明朝体」で学びます ですから「謎」の
シンニョウは点がふたつ きっと子供たちも先生方も
混乱しますよね 説明がつきません
食偏も同様です 「館」のショクヘンは 点ひとつ
「餌」や「餅」では ショクヘンが「二」になります
「辞書が正しいと刷り込まれている!」
みんな辞書のこと そう思っています
「最大多数の 最大回避」これだけ普及した
携帯やパソコン 電子辞書
との 整合性がとられたようです
結論から言いますと シンニョウは点ひとつでも
ふたつでもOK ショクヘンも 点でも「二」でもOK
「令」も同様ですとの説明で 大いに納得できました
一番知りたかったのは
「印刷=機械文字と手書きでは異なる」ということ
「許容範囲」ということばで 今解決されました